【11月11日 AFP】米海兵隊の訓練基地で起きたイスラム教徒の新兵虐待事件をめぐり、指導教官の1人に10日、禁錮10年の刑が言い渡された。求刑の禁錮7年を上回り、さらに被告の不名誉除隊も言い渡された。この事件で虐待されていた新兵のうち1人は昨年死亡している。米メディアが報じた。

 軍の裁判所に当たる軍法会議は前日9日、イラク戦争への従軍経験がある海兵隊のジョセフ・フェリックス(Joseph Felix)一等軍曹に対し、有罪を言い渡していた。フェリックス被告は、サウスカロライナ(South Carolina)州パリスアイランド(Parris Island)にある基地で新兵の訓練中、イスラム教徒の新兵10人以上を虐待した。新兵への極度のしごきを命じ、これに参加した教官6人のうち、同被告は最も責任が重いと判断された。

 訓練でイスラム教徒の新兵たちはテロリスト呼ばわりされなどして、虐待されていた。被害にあった新兵のうち2人は工業用の衣類乾燥機に入れられ、あるときは信仰の放棄を宣言しなかったとして乾燥機のスイッチを入れられた。

 また虐待されていた新兵の1人、ラヒール・シディクイ(Raheel Siddiqui)さん(当時20)は2016年3月、建物の3階から転落して死亡している。海兵隊はシディクイさんの死を自殺と結論付けたが、遺族はシディクイさんが上官にドアから投げ飛ばされてバルコニーに落ち、さらに地面へ落下したとして今年10月、海兵隊を相手取り1億ドル(約110億円)の損害賠償請求訴訟を起こしている。

 長期の禁錮刑と不名誉除隊を含む判決に関する軍規に従い、この裁判は今後、自動的に控訴審に移る。(c)AFP