【11月10日 AFP】中国の国歌に対する侮辱行為を禁止する「国歌法」の適用が決まった香港で9日、サッカーの香港対バーレーンの国際親善試合が行われ、香港のサポーターたちは中国国歌の吹奏中にブーイングを浴びせて抵抗の意思を表明した。

「一国二制度」に基づき高度な自治が保障されてきた香港ではここ数年、中国政府の締め付け強化への懸念が高まる中で、サッカーファンたちが国際試合での国歌吹奏中にブーイングをする光景が繰り返されてきた。

 しかし、香港特別行政区政府は4日、中国が9月に施行した「国歌法」を香港に適用すると発表。香港立法会(議会)で法制化され次第、施行する方針を示した。

 中国本土で施行された「国歌法」は、国歌の正しい歌い方や歌うべき場所を定め、パーティーや冠婚葬祭の場で演奏することを禁止するもの。当初は国歌への侮辱行為を最大15日間の拘留の対象としていたが、国営メディアの4日の報道によると中国は、国歌を侮辱した者を刑事罰の対象とし、最高で禁錮3年を科す改正法案を可決した。

 9日夜、旺角大球場(モンコック・スタジアム、Mong Kok Stadium)のスタンドに集まったサポーターたちは、大きな香港の旗を掲げる一方、中国国歌の吹奏中には大きなブーイングをしたり、ピッチに背を向けたりした。匿名でAFPの取材に応じたサポーターの一人は「そもそも、自分たちが中国人だとは思っていない。僕らは香港人だ」と主張した。

 ただ、国歌への侮辱を続けても無意味だと口にするファンの姿も。検査技師のピウス・チャン(Pius Chan)さん(25)は「ブーイングしたって嫌なものがなくなるわけではない」と述べた。(c)AFP