【11月10日 AFP】(更新)シリア政府軍と親政府勢力は9日、イスラム過激派組織「イスラム国(IS)」の最後の重要拠点となっていた東部デリゾール県の町、アブカマル(Albu Kamal)を奪還した。

 国営シリア・アラブ通信(SANA)によると、政府軍は声明で「わが軍は同盟勢力、支援勢力の協力を得て、デリゾール県の町、アブカマルを解放した」と明らかにした。

 政府軍は8日にイラク国境に近いアブカマルに突入。当初は激しい戦闘が行われていると伝えられたが、作戦は順調に進められた。

 在英の非政府組織(NGO)「シリア人権監視団(Syrian Observatory for Human Rights)」によると、アブカマル奪還作戦の大部分はシリア政権軍ではなく、同軍の側につく民兵組織によって行われた。

 同監視団のラミ・アブドル・ラフマン(Rami Abdel Rahman)代表によると、戦闘を主導したのはレバノンのイスラム教シーア派(Shiite)原理主義組織ヒズボラ(Hezbollah)、イランの革命防衛隊(Revolutionary Guards)の軍事顧問ら、そして主にシーア派からなるイラク民兵勢力。

 また同代表は、ISは9日、アブカマル町内の約半分の地域をまだ支配下に置いていた時点で、激しい戦闘に直面しながらも、北への退路を1本確保していたと説明。「ISはデリゾール(県)東部の砂漠地帯に退却」しており、そこで米国が支援するクルド人部隊と遭遇する可能性が高いと述べた。

 AFPの取材に応じたイラク軍司令官によると、国境を越えてISの支配するイラクの小さな町、ラワ(Rawa)方面に逃走しようとしたIS戦闘員4人が、同軍によって射殺された。(c)AFP/Rouba El Husseini