【11月9日 AFP】外交や貿易をめぐるいさかいが続き、関係が冷え込んでいたケニアとタンザニアで、牛とニワトリの扱いが外交問題に発展し、ケニア政府が隣国タンザニアに対して正式に抗議を申し入れるなど、一層の関係悪化をもたらしている。

 タンザニア当局は先月、国境にほとんど注意を払うことのない牧畜民らが暮らす地域で、国境を越えて草を食べようと同国領内に入り込んだ牛1300頭を押収して競売に掛けた。

 また先週も、病気を広める恐れがあるとして商人が同国に持ち込んだニワトリ6500羽を押収。生きたまま焼却処分した。

 こうした事態を受けて、ケニアのアミナ・モハメド(Amina Mohamed)外相は、東アフリカ共同体(EAC)の同国政府代表部がタンザニアに対し「抗議文」を送付したと明かした。

 ケニア側の商人らはタンザニアの入国管理当局の対応に不満を抱き、国境で抗議活動を展開。両国は互いにさまざまな商品の輸入を差し止めるなど、貿易面で応酬を繰り広げている。

 その一方で、タンザニアのジョン・マグフリ(John Magufuli)大統領はケニアに対し、自国領内に入り込んだ家畜類は全て没収すると警告。地元メディアは大統領のコメントとして、「家畜と一緒にわが国に忍び込んだ者も容赦しない」と伝えている。

 これに対して、ケニアのモハメド外相は周辺地域における牧畜民の慣行に言及し、「草地を探して国境を越えるという、いつもやっていたことをやったのであり、いかなる犯罪も犯していない」と主張。

 モハメド氏はまた、「こうした人々はずっと共生してきたし、お互いに結婚し、両側を常に移動してきた。われわれは両国の国境をより容易に越えることができるようにすべきだ」と述べた。(c)AFP