【11月8日 AFP】米バージニア(Virginia)州議会選で7日、トランスジェンダー(性別越境者)であることを公表して民主党から出馬していた女性が勝利した。こうしたケースは米史上初とみられている。

 音楽家で元ジャーナリストでもあるダニカ・ローム(Danica Roem)氏(33)と共和党のロバート・マーシャル(Robert Marshall)氏の選挙戦は全米の注目を集めていた。マーシャル氏は四半世紀にわたってバージニア州議会議員を務め、同州の「ホモフォビア(同性愛嫌悪)の代表」と自称したこともある。開票率95%の時点でローム氏の得票率は55%、マーシャル氏は45%だった。

 性的少数者(LGBTQ)であることを公表している人の政界進出を支援している全国組織「ゲイ&レズビアン・ビクトリー基金(Gay & Lesbian Victory Fund)」は、トランスジェンダーであることを公表した人が州議会選で当選したのはローム氏が米史上初だとしている。

 同団体のアイシャ・ムーディーミルズ(Aisha Moodie-Mills)代表は声明で、「有権者が今夜、反LGBTQをあおって対立をもたらすデマゴーグ(扇動家)ではなく問題解決志向型の賢明なトランスジェンダーを選ぶ判断をしたことは、反トランスジェンダーの立場を取る国内各地の議員に対する強力なメッセージとなる」と述べた。

 ローム氏の勝利を支えたのは、同団体をはじめとするLGBT支援団体や有権者らによる精力的な資金集めだ。このような活動が、同氏の選挙戦に注目を集めようという草の根の運動を後押しした。

 一方、同性婚に断固として反対する立場を取っている70代のマーシャル氏は選挙期間中、ローム氏との討論に応じず、ローム氏を「彼女」と呼ぶことも拒否していた。(c)AFP