【11月28日 AFP】米ニューヨークで27日、市内のバー、クラブ、レストランでのダンスを禁じた91年前のいわゆる「キャバレー法」を廃止する法律に、ビル・デブラシオ(Bill de Blasio)市長が署名した。廃止法案は10月31日の議会で可決していた。

 1926年に発効したキャバレー法と呼ばれるこの禁酒法時代の法律をめぐっては、廃止を求めてきた活動家らから、マンハッタン(Manhattan)北部ハーレム(Harlem)地区にあるジャズバーを閉鎖し、白人と黒人の交流を阻止するために当時は利用されたとして非難されてきた。

 また歴史的に見ても、アフリカ系やヒスパニック系、LGBT(レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダー)コミュニティーなど、マイノリティー人口が多い地域での取り締まりに用いられてきたことも指摘されていた。ルドルフ・ジュリアーニ(Rudy Giuliani)元市長は1990年代、犯罪を取り締まるとの名目で同法を利用し、市内のクラブなどに圧力をかけた。

 デブラシオ市長は法律に署名する際に、「2017年となった今、この法律はすでにナンセンスだ。ナイトライフはニューヨークにおける『文化のるつぼ』の一部で、人々を結びつけるものだ」と語った。

 実際にキャバレー法が適用されることはまれだった。しかし飲食物を販売する公共のスペースが屋内でのダンスを合法とするには、その取得がほぼ不可能に近いとされたライセンスの取得が義務づけられていた。

 ニューヨークには2万2000軒以上のバーやレストラン、クラブがあるが、ライセンスを取得していた店舗は100件にも満たないのが実情だった。

 キャバレー法の廃止を求めたブルックリン(Brooklyn)市議会のラファエル・エスピナル(Rafael Espinal)議員は、同法が小規模事業経営者に対する不当な差別だと指摘していた。

 法律発効後は、ライセンスの取得は不要となるが、多くの施設に対しては、セキュリティーガードおよび監視カメラの設置が引き続き求められるという。(c)AFP