【11月8日 AFP】(更新)訪韓中のドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領は8日、今回は行わないと発表されていた南北朝鮮間の軍事境界線沿いにある非武装地帯(DMZ)訪問を試みたが、悪天候のため取りやめた。

 8日早朝、トランプ大統領はソウル市内のホテルを出て米韓連合軍司令部がある竜山(Yongsan)基地に入り、大統領専用ヘリコプター「マリーンワン(Marine One)」でDMZに向かったが、悪天候のためヘリコプターは引き返した。1時間ほど待ったものの天候は回復せずむしろ悪化したため、DMZ訪問を取りやめた。

「大統領はかなりフラストレーションを感じていらっしゃいます」と、サラ・ハッカビー・サンダース(Sarah Huckabee Sanders)報道官は述べた。

 朝鮮半島で南北の部隊を隔てる最前線に位置し、世界で最も危険な一触即発地点の一つであるDMZは、米国の歴代大統領や政府高官らにとっては定例の視察先となっている。 米政府当局者は今回のトランプ氏のアジア歴訪に先立ち、DMZを訪問することは「率直に言って陳腐になってきていると思う」と述べ、トランプ大統領は訪問しないと述べていた。

 しかし大統領の同行記者団は8日朝、予定の時間より早く集められ、「われわれはここに行きます」と話したサンダース報道官から「DMZ」という文字が走り書きされたメモを見せられた。

 この際サンダース報道官は、DMZで文在寅(ムン・ジェイン、Moon Jae-In)大統領がトランプ大統領と合流する予定になっており、米韓大統領が初めて一緒にDMZを訪れ、「両国の同盟関係が強力で重要であることを示す」「歴史的な瞬間」になるだろうと話していた。

■文大統領は「待ちぼうけ」

 天候が悪化する前に航空機で現地に到着していた文大統領は、電気フェンスや地雷、戦車の侵入を防ぐ障害物などがある境界線付近で待ちぼうけを食わされた形になった。

 韓国の聯合(Yonhap)ニュースが韓国政府当局者の話として伝えたところによると、文大統領が7日の首脳会談でトランプ大統領に一緒にDMZを訪問することを持ち掛けたという。トランプ大統領は7日の夕食会の際、「明日はエキサイティングな日になるだろう。人々が知ることになる数多くの理由で」と述べていた。(c)AFP