【11月7日 AFP】セクシュアルハラスメント(性的嫌がらせ)や性的暴行疑惑の渦中にある米ハリウッド(Hollywood)の大物プロデューサー、ハーヴェイ・ワインスタイン(Harvey Weinstein)氏が、被害女性たちから不適切行為について訴えられるのを阻止するため、記者や高度な訓練を受けた元スパイ、身元を偽った軍人らを雇っていたと、米誌ニューヨーカー(New Yorker)が6日、報じた。

 ワインスタイン氏をめぐっては、「エミー賞(Emmy Awards)」を主催する米国テレビ芸術科学アカデミー(Television Academy)と「アカデミー賞(Academy Awards)」を主宰する映画芸術科学アカデミー(Academy of Motion Picture Arts and Sciences)が、いずれも同氏に永久追放処分を科した。

 ニューヨーカー誌によると、ワインスタイン氏が探偵会社を利用し始めたのは2016年の秋頃。この中にはイスラエルの対外諜報機関モサド(Mossad)など、同国の元情報局員らが多数所属する「ブラックキューブ(Black Cube)」や、企業向け調査会社大手クロール(Kroll)が含まれている。

 ニューヨーカー誌は、数十ページにおよぶ文書とワインスタイン氏の試みに直接関与した人物7人からの情報として、「ブラック・キューブ」からは2人の探偵が、ワインスタイン氏によるレイプ被害を公言する前に米女優ローズ・マッゴーワン(Rose McGowan)さんに接触し情報を得ようと試みたと伝えた。探偵の1人は女性権利活動家を装って少なくとも4回、マッゴーワンさんと会い、ひそかに録音していたという。

 探偵らは、メディアに訴えようとしている女性たちが誰なのかを探るため、身元を偽り、自分もワインスタイン氏を訴えるつもりだと言って記者にも接触していた。

 ワインスタイン氏と探偵らはまた、ほかの記者たちからも同氏を訴えようとしている女性たちの詳細を聞き出していた。

 こうしてワインスタイン氏らは1年かけて数十人に関する情報を収集し、被害女性たちの私的情報や性的な遍歴を元に個々の心理学的特性をまとめ、訴えられた場合の反論や相手の信用失墜、脅迫などに利用しようとしていたという。(c)AFP