「チンパンジー島」最後の1頭、コートジボワールで保護の取り組み
このニュースをシェア
【11月7日 AFP】コートジボワールの「チンパンジー・アイランド(Chimpanzee Island)」で飼育されているチンパンジーのポンソは、来場者たちを見ると鳴き声を上げた──。以前は20頭いたチンパンジーだが、不審死や行方不明となった個体が続出し、今はこのポンソ1頭のみとなってしまった。
チンパンジー・アイランドは、商業中心地アビジャン(Abidjan)から約100キロにあるバンダマ(Bandaman)川河口そばのグラン・ラウ(Grand-Lahou)村に隣接するように設置された施設で、1983年に薬剤実験を行う研究所によって、リベリアからこの小さな島にチンパンジーのグループが連れてこられた。
アフリカ西部コートジボワールのチンパンジーの個体数は、わずか20年足らずで90%減少した。そのような状況において、同施設ではポンソの健康状態を良好に保ち、長生きさせようとの努力が続けられている。
ウェブサイト「sosponso.org」によると、2015年以降、団体「レザミ・ド・ポンソ(Les Amis de Ponso)」が餌代も負担しており、専門の飼育員ジャーマイン・ジェネマヤ・コイジャさんへの資金提供も行っている。施設近くの桟橋に掲げられた木製パネルにも同様の説明書きがあった。
元農家で60代のコイジャさんによると、ポンソは2年前、メスのパートナーと2匹の子どもを謎の病で失い、心の傷を負ったのだという。以降「世界で最も孤独なチンパンジー」となったポンソのためにSOSを発信し続けている。
■家族の一人
コイジャさんは毎朝、餌や薬を簡易ボートに積み、スイレンをかき分けながらチンパンジー・アイランドへと向かう。
コイジャさんを見ると、背丈1メートルほどのポンソは鳴き声を上げながら枝から枝へと飛び移り、喜びを全身で表現する。
「私にとってポンソは子どものようなもの。彼がいなくなるのを見たくない。誰かにメスを連れてきてもらえるよう、問い合わせをしているところだ」と語るコイジャさん。自身の父親から21歳の息子ジュニアさんに至るまで、一家は代々霊長類にかかわっているのだという。