【11月6日 AFP】英国のエリザベス女王(Queen Elizabeth II)の個人資産から約1000万ポンド(約14億9000万円)がオフショアのタックスヘイブン(租税回避地)のファンドに投資されていたことが5日、膨大な流出資料から明らかになった。違法性はないとされるが、再投資先には貧困層を搾取しているとして物議を醸した英企業も含まれていた。

 女王の資金は、英領のケイマン諸島(Cayman Islands)やバミューダ(Bermuda)諸島に拠点がある複数のファンドに投資されていた。英BBCや英紙ガーディアン(Guardian)がタックスヘイブンに関する新たな資料、通称「パラダイス文書(Paradise Papers)」の分析に基づいて最初に報じた。

 ファンドは女王の資金を各種事業に再投資しており、それには貧困層を搾取していると非難された英家電小売業者ブライトハウス(BrightHouse)や、後に破産した酒類販売チェーンも含まれている。

 報道によると、投資はランカスター公領(Duchy of Lancaster)を通じて行われた。同公領は王室の収入源となっており、女王の広大な私有地の投資などに当たっている。

 今回の投資は全面的に合法といい、同公領が違法行為を働いたり、納税義務を果たさなかったりしたことを示すものもない。だが、英国の国家元首がオフショアのタックスヘイブンに投資するのが適切なのかどうかについては疑問が持ち上がりそうだ。

 パラダイス文書は、バミューダ諸島などに拠点を置く法律事務所「アップルビー(Appleby)」から流出したものを中心とした1340万の文書からなる。最初に南ドイツ新聞(Suddeutsche Zeitung)が入手し、2015年の「パナマ文書(Panama Papers)」公開にも関わった国際調査報道ジャーナリスト連合(ICIJ)および提携メディア各社と共有した。(c)AFP