バルフォア宣言100年、バンクシーが英外交の「謝罪パーティー」開催 パレスチナ
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【11月2日 AFP】英政府がパレスチナにおけるユダヤ人国家建設を支持した「バルフォア宣言(Balfour Declaration)」から100年を迎える2日を前に、英覆面グラフィティアーティストのバンクシー(Banksy)が1日、英国が同宣言を行ったことを謝罪するパーティーを催した。
バルフォア宣言は、英政府が「パレスチナにユダヤ人の民族的郷土の樹立」を支持することを表明した宣言。このときの文書は、現在のイスラエル人の間では世界各地でユダヤ人が迫害に遭っていた時代に自分たちの国を建国する後押しになったと見なされているが、パレスチナ人の間では、これによって自分たちの郷土が引き渡されることになったと考えられている。
バンクシーは今年3月、パレスチナ自治区ベツレヘム(Bethlehem)にあるイスラエルとパレスチナ自治区ヨルダン川西岸(West Bank)を分離する壁の近くにホテルをオープンした。今回このホテルで開かれたパーティーは、バンクシーらしいシュールな雰囲気に包まれたものだった。英エリザベス女王(Elizabeth II)に扮(ふん)した俳優が英国風のお茶会に招待したのは、ベツレヘム近郊にあるアイーダ(al-Aida)難民キャンプで暮らす子ども50人。子どもたちはパーティー用の帽子の代わりに、銃痕がある英国旗柄のヘルメットをかぶり、会場ではパレスチナの旗と、ぼろぼろになった英国旗が舞った。
イスラエルが建てた分離壁につり下げられたカーテンを「女王」が開けると、「あー、すみません(Er...SORRY、Erは言いよどむときの表現と、女王エリザベス<Elizabeth Regina>の署名に用いられる頭文字を掛けている)」と刻まれた謝罪の文字が現れた。イスラエルの分離壁はパレスチナ領の多くの地域を通過する形で建設されている。
バンクシーは声明を発表し、「この紛争は双方の人々に多大な苦しみをもたらしてきた。英国が果たした役割を『称賛する』のは不適切だ」「英国は、この問題を円滑に処理できなかった。結婚式を執り行うときには、花嫁が既婚者ではないことをよくよく確かめた方がいい」と述べている。
素性を隠しているバンクシーは、このパーティーには出席しなかったとされている。(c)AFP/Shatha Yaish