【11月12日 AFP】アマゾンの熱帯雨林で狩りをしている最中に初めて白人男性に遭遇した日のことを、ズァクー・ワイアピ(Tzako Waiapi)さんは今も鮮明に覚えている。それから数か月以内に、知り合いのほぼ全員が謎の病気で死んでいった。

 2つの世界は突然出会った。一方に住むのは、先住民ワイアピ(Waiapi)。もう一方に属しているのは、鉱山を採掘、森林を伐採し、アマゾンの天然資源を搾取しようとするブラジルの開拓者たち。双方とも互いが存在することさえ、まったく知らなかった。

「白人たちは拳銃を引き抜いた。われわれは矢を持っていて、やはり構えた。全員がにらみ合った」。アマゾン奥深くにある集落マニーリャ(Manilha)の長老、ズァクーさんは記憶をたどる。

 森林に分け入って金鉱を探す者たちとの出会いは戦いに至らずに終わったが、彼らはワイアピの民たちに拳銃よりもはるかに致命的な武器を放っていった。麻疹(はしか)とインフルエンザだ。

 はしかやインフルエンザといった病気は、先進諸国ではずいぶん前から抑制されてきた。だが、こうした病気への自然免疫力を持たない先住民に対して、ウイルスは爆弾のような威力を持っていた。「ワイアピはそういう病気に慣れていなかったから、皆あっという間に死んでいった」「インフルエンザは治った。だから、はしかにかかったときも治ると思った。でも、はしかの方は強力で、死ぬまでに1日とかからなかった」と、ズァクーさんは語った。

 ズァクーさんは自分の年齢を正確に知らない。たぶん80代だと言う。だが、若い頃の恐怖の記憶は痛々しいほど鮮明で、「遺体を埋葬する人さえいなくなってしまった。親族もいなくなり、放置された遺体を動物たちが食べていた」という。

 近しい人々は何人亡くなったのかと聞くと、ズァクーさんは一人ずつ名前を挙げながら、妻、父、義母、義兄、子どもたち、とそこでやめ、多過ぎて数えられないというふうに手を振り、「彼らはワイアピの子孫を奪ったのだ」と話した。