【10月31日 AFP】陸上男子長距離のモハメド・ファラー(Mohammed Farah、英国)が30日、長年にわたり自身のコーチを務めてきたアルベルト・サラザール(Alberto Salazar)氏との関係を解消すると発表した。

 五輪の1万メートルと5000メートルで計4個の金メダルを獲得しているファラーは、英大衆紙サン(The Sun)とのインタビューの中で、英国に拠点を戻すことがサラザール氏との関係に終止符を打つ理由になったと語った。

 ソマリアで生まれた現在34歳のファラーは、2011年に米オレゴン(Oregon)州ポートランド(Portland)のナイキ・オレゴン・プロジェクト(Nike Oregon Project)でサラザール氏とのトレーニングを開始すると、同年の第13回世界陸上大邱大会(13th IAAF World Championships in Athletics Daegu)で初の世界タイトルを手にした。

 しかし、今年に入ってサラザール氏が薬物規定に違反したとする米国反ドーピング機関(United States Anti-Doping AgencyUSADA)の報告書が流出するなど、同氏の練習拠点はUSADAの厳しい調査対象となっている。

 これまでもドーピングへの関与を否定してきたファラーは同紙に対し、サラザール氏をめぐる疑惑が自身の決断の背景にあったわけではないと語った。

「ドーピング疑惑があるからナイキ・オレゴン・プロジェクトとアルベルト・サラザール氏の下から離れるわけではない。この状況はここ2年間にわたり続いているし、仮にそれが理由で離れるのだとすれば、すでにそうしていただろう」

「これまでも常に言ってきたが、私はクリーンなスポーツを固く信じているし、ルールを破った人は誰であれ処分されるべきだと強く思っている」

「仮にアルベルトが一線を越えていたとすれば、私も彼との縁を切るだろうが、USADAは彼に何も訴えてきていない。今までもアルベルトに少しでも疑いの気持ちを持っていたとすれば、こんなに長く彼のそばにはいなかったはずだ」

 また、先日にトラック種目を引退し、今後はマラソンに転向するファラーは、家庭の事情が拠点を変更する大きな理由になったと付け加えている。

「私が離れるのは単に家族と一緒にロンドンへ戻るためだ」というファラーは「妻と私は家族や友人との時間が非常に恋しかったし、子どもたちもここ(ロンドン)でハッピーなんだ」と話した。

「私たち夫婦は子どもに英国で育ってほしいと考えており、それが家族としてするべきことだ。しかし、ナイキ・オレゴン・プロジェクトとアルベルトは米国を拠点にしているため、ロンドンから関係を継続していくのは不可能となった」 (c)AFP