遺体とダンス 死者敬う風習がペスト感染リスクに マダガスカル
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【10月30日 AFP】西インド洋の島国マダガスカルには、家族や先祖の遺体を掘り起こして新しい布で包み直し、遺体と共にダンスをするという神聖な儀式がある。だが、同国でのペストの流行に伴い、遺骨や遺体を改葬するこの行事がさらなる感染リスクとなる恐れがあるとして当局が警鐘を鳴らしている。
焼け付くような暑さの9月のある土曜日。首都アンタナナリボ(Antananarivo)郊外のアンボヒジャフィ(Ambohijafy)村では、改葬儀礼を行う人々が、熱狂的なカーニバルのような雰囲気の中で墓地に向かって通りを練り歩いていた。地元に住む大勢の人々にとって、「ファマディハナ(famadihana)」の名で知られる儀式の始まりだ。
マダガスカルの高地の村々に起源を持つこの独自の風習は毎冬、死者を敬い、死者の臨終の願いを尊重するために行われ、多数の参加者が集まる。
歴史家のマヘリ・アンドリアナハグ(Mahery Andrianahag)氏はファマディハナについて、「この国で最も普及している儀式の一つ」と述べ、「先祖を祝福したい、いつの日か先祖が戻って来られるように敬いたいという人々の気持ちを満足させる」と説明した。
行進の先頭にいた男性(18)は、そろいの服を着込んだ音楽隊が高らかにトランペットを吹き鳴らす中、儀式が始まるのを今か今かと待っていた。
「祖父や先祖の遺骨を包み直しに行くのが誇らしい。先祖に祝福を授けてもらい、僕の卒業試験がうまくいくようお願いするんだ」と話した。
一家の墓の前では、集まった男性たちが土を掘り起こし、ひつぎのふたを開けると、女性や子どもたちが中をのぞき込んだ。布を巻かれた遺体が1体ずつ取り出されてマットの上に慎重に置かれ、用意された新しい布で巻き直されていく。
「これで子孫は、今後9年間の祝福をお願いできる」と、参加者の一人は感極まった様子で話した。