【10月28日 AFP】今年、世界各国で被害をもたらしたランサムウエア(身代金要求型ウイルス)によるサイバー攻撃で英国の病院の3分の1が影響を受けたとする新たな報告を受け、英当局は27日、同攻撃に北朝鮮が関与していたとして非難した。ただし、「基本的な」ITセキュリティー対策を取っていれば被害は防げた可能性が高いという。

 英内務省のベン・ウォレス(Ben Wallace)治安担当閣外相は、英BBCのラジオ4(Radio 4)のニュース番組「トゥデイ(Today)」に対し、「この世界的規模の攻撃に関与した国家は北朝鮮だとわれわれは考えている」と述べた。

 ランサムウエア「ワナクライ(WannaCry)」は今年5月、150か国、約30万台のコンピューターに被害を及ぼした。

 英会計検査院(NAO)が公表したところによると、英国では国民保健サービス(NHS)が特に大きな被害を受け、約1万9500件の診療予約のキャンセルを余儀なくされた。また、全英の病院グループ計236のうち約3分の1に当たる、81グループのコンピューターが影響を受け、さらに一般開業医約600件も影響を受けた。

 NAOによると、被害を受けた施設の大半が米マイクロソフト(Microsoft)の基本ソフト(OS)「ウィンドウズ7(Windows 7)」を搭載したコンピューターシステムを使用しており、セキュリティー対策の更新を行っていなかったという。アミアス・モース(Amyas Morse)会計検査院長は「攻撃は比較的単純なもので、基本的なITセキュリティー対策をNHSが取っていれば防げただろう」と指摘した。

 モース氏はさらに、「ワナクライよりも高度なサイバー攻撃の脅威に対抗するために、保健省とNHSは協力し、NHSが今後の攻撃に備える術を確保する必要がある」と述べた。(c)AFP