米国、イラク政府にクルド係争地での自制要請 実質的な停戦呼び掛け
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【10月21日 AFP】米政府は20日、同盟関係にあるイラク中央政府の軍に対して、クルド自治政府とのこれ以上の武力衝突を避けるため、両勢力が領有権を争っている係争地における「軍事行動」を自制するよう要請した。
中央政府軍は20日、北部キルクーク(Kirkuk)州でクルド人部隊と衝突した。中央政府軍の係争地奪還作戦では流血の事態はおおむね避けられており、同軍は数日中にもクルド人勢力から係争地一帯を奪還するものとみられている。
中央政府軍とクルド人部隊は米国にとっては共に、イスラム過激派組織「イスラム国(IS)」掃討作戦における重要な同盟軍だが、ISという共通の敵をもってしても、長きにわたる両勢力の領有問題や財政上の争いは解消されなかった。
米国務省のヘザー・ナウアート(Heather Nauert)報道官は声明で、「意見の相違や衝突がこれ以上起きないようにするために、われわれはイラク中央政府に対して、係争地における政府軍の軍事行動をクルド自治政府と足並みをそろえたものに限定して事態を沈静化するよう促している」と述べている。
クルド自治政府は係争地における中央政府の軍事行動を激しく非難しており、米政府の声明は実質的には中央政府軍に対する停戦の呼び掛けを意味する。
ナウアート報道官は、「中央政府が係争地域の領有権を再び主張しても当該地域の状態は決して変わらない。イラク憲法に従って解決されるまでは、同地域は係争中のままだ」と指摘している。(c)AFP