【10月21日 AFP】アフリカ南東部マラウイで19日、自警団が「吸血鬼」と疑う男性2人を殺害する事件が発生し、警察は翌20日、この事件に関連して124人を逮捕したと発表した。犯行に及んだ集団は、被害男性らが呪術の儀式用に人間の血液を入手しようとしていると信じ切っていたという。

 同国南部では先月から、吸血鬼がいるといううわさが広まっており、当局は夜間外出禁止令の発令を余儀なくされている。経済中心都市ブランタイヤ(Blantyre)郊外で発生した今回の事件で、同国の吸血鬼騒動による犠牲者数は計9人に増加した。

 警察報道官はAFPに対し、「19日の事件では、怒った自警団員らが吸血鬼疑いの男性1人を焼き殺し、もう1人は投石を繰り返して殺した」と明かした。

 現場では激高して暴徒化した集団が警察と衝突した上、吸血鬼の脅威への抗議だと主張して主要道路を封鎖。国家警察のトップは、「一斉摘発」で124人を逮捕したと発表した。

 アーサー・ピーター・ムタリカ(Arthur Peter Mutharika)大統領は10日、吸血鬼騒動関連の殺人事件とそのうわさについて捜査すると言明していた。

 国連(UN)によると、このうわさはモザンビークで生まれ、国境を越えてマラウイに入ったとみられるという。教育水準が低く、今も魔術が広く信じられている同国では、「吸血鬼」が出没したとする情報に振り回される事例が頻発している。(c)AFP