【11月12日 AFP】まるでホテルのような10階建てのビル「オールドオーク(Old Oak)」は、世界で最も大きなシェアハウスといえるかもしれない。ここでは英ロンドンの住宅危機に苦しむ若者数百人に質素な個室と、ちょっとぜいたくなサービスを提供している。

 昨年春、ロンドン北西部の運河沿いオープンしたオールドオークは、最近特に米国を中心に人気を集めている「コリビング」の草分けだ。プロジェクトのデベロッパー「ザ・コレクティブ(The Collective)」のコンサルタント、ライアン・フィックス(Ryan Fix)氏は「現代の都市では隣人が誰かも分からないし、住宅はどんどん値上がりしている。そしてIT機器に埋もれての生活。これは、そういう暮らし方に対する挑戦だ」と語る。

■ヨガクラスや映画会を開催

 コリビングはニッチな市場ではなく、「今後は巨大なムーブメントになるはずだ」とフィックス氏は言う。オールドオークの部屋数は546戸で、今は全室が埋まっている。AFPの取材班が案内された部屋の広さは12平方メートルだった。

 オールドオークの自慢はクオリティーの高いスパやジム、ワークルームのほか、図書館やレストラン、映画館まで併設されていることだ。また音楽のライブやヨガクラスといったコミュニティーでの活動も盛んに行われている。

 現在の入居者の大半は22~35歳。彼らの平均年収は3万ポンド(約450万円)とされているが、不動産会社ナイト・フランク(Knight Frank)の経営者、ジェームズ・マニックス(James Mannix)氏は、ロンドンっ子が手取り収入の4~5割を住居費に充てることは普通だと説明する。同社によると、共同生活型物件の一般的な賃料は、ロンドン中心部で月約1600ポンド(約24万円)で、中心部から少し離れると950ポンド(約14万円)程度になるという。

 オールドオークの賃料はこれらの相場とほぼ違わず、多くは月850~1100ポンド(約13万円~16万円)。ただ、これには光熱費、ネット通信料、清掃費、共有施設費などが含まれており、税込みだ。最大の部屋は1400ポンド(約21万円)以上となっている。