トランスジェンダーを題材にした児童文学、広がる選択肢 独書籍見本市
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【10月13日 AFP】トランスジェンダーのテディベアから恐れを知らない海賊少女まで、児童書作家は今、ジェンダーに関する新たな規範への取り組みを進めている。「少年」や「少女」であることの意味についての議論が高まりをみせているのだ。
ドイツのフランクフルト(Frankfurt)で年次開催されている世界最大の書籍見本市「フランクフルト・ブックフェア(Frankfurt book fair)」では今年、ステレオタイプに疑問を投げかけ、世界的に議論されている性別違和やジェンダーフルイド(性差流動性)などについての若年層向けの書籍が並んだ。
スイス生まれの文学専門家で作家のニコラ・バルドラ(Nicola Bardola)氏は、トランスジェンダーの主人公が登場する作品は、とりわけ児童書で根強く残っている「タブー」のひとつを打ち破るものだと説明する。「この傾向を神経質に見つめる人もいます。こういった種類の本は今なお一部の批評家を困らせているのです」
最近、最も注目を集めた児童書のひとつに「Introducing Tilly」と題された絵本がある。主人公のテディベア、トーマス(Thomas)が「自分はずっと女の子テディで、男の子のテディではないって分かっていた」と友達に語りかける優しいトーンでストーリーが展開する作品で、対象年齢は4歳以上に設定された。トランスジェンダーの親を持つオーストラリア人作家ジェシカ・ウォルトン(Jessica Walton)氏が手掛けた。
これよりやや年長の読者には、米作家アレックス・ジーノ(Alex Gino)氏の作品「George(ジョージ)」がある。トランスジェンダーの10歳の主人公の少年が、学校の演劇で女の子の役を演じたいと強く決心する物語だ。元気なヒロインが温かく描かれ、高く評価されたこの作品だが、一部では論争の的にもなった。