バングラのロヒンギャ難民、家族との30年越しの再会かなわず 転覆事故
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【10月12日 AFP】両親の遺体を前に涙をこらえきれず、泣き声をもらしながら、墓の土を素手ですくったアリフ・ジュクハルさん──。
バングラデシュで長年、ロヒンギャ(Rohingya)難民として暮らしてきたジュクハルさんは、30年ぶりに家族と再会することを待ち望んでいた。しかし生きて再会を果たすことはついにかなわず、辛うじてできたのは、自らの手で家族を埋葬することだけだった。
先週末、ミャンマーでの暴力行為を逃れ、隣国バングラデシュを目指すロヒンギャの人々を乗せたボートがベンガル湾(Bay of Bengal)で転覆する事故が発生した。この事故では、少なくとも23人が死亡。行方不明者は数十人に上ると伝えられた。
仏教徒が多数を占めるミャンマーでは、少数派のイスラム教徒であるロヒンギャへの襲撃が相次ぎ、数十万人が隣国バングラデシュに避難している。国連(UN)などはラカイン州で起きているのは民族浄化だと非難している。転覆事故で命を落とした人々もやはり同じ避難民だった。
転覆事故犠牲者の遺体を荷台に載せたトラックは9日、バングラデシュ南東に位置するシャーポリルウイップ(Shah Porir Dwip)から、生きて辿り着くことができなかった同国の内陸部へと未舗装の道を進んだ。
白や紫の布に包まれた遺体が到着したのは、手狭になり始めた埋葬地だ。地元のコーラン学校のボランティアたちが、子どもの遺体を慎重に荷台から下ろし、両腕でそっと抱きかかえた。
短い祈りの言葉が、それぞれの遺体の前で小さく唱えられた。通常は埋葬の前に竹でできた覆いを遺体に被せるが、今回は近くに生えていた野草で代用した。
ジュクハルさんは30年近く会っていなかった両親の遺体の前で両膝を付き、被せた覆いの上に素手で土をのせた。