【10月12日 AFP】F35最新鋭ステルス戦闘機やP8ポセイドン(Poseidon)対潜哨戒機に関するオーストラリア軍の重要情報が、ハッキングによって豪防衛請負業者から盗み出されていたことが12日までに分かった。豪当局者によると、中国のハッカーらが利用することが多い「チャイナ・チョッパー(China Chopper)」と呼ばれるツールが使われていたという。

 科学技術系ウェブサイト「ZDNetオーストラリア(ZDNet Australia)」が伝えたところによると、不正アクセスを受けたのは従業員50人規模の航空宇宙企業。被害に遭ったのは昨年7月だが、豪政府機関のオーストラリア通信電子局(ASD)がハッキングに気付いたのは11月になってからだったという。

 ZDNetによれば、ASDのミッチェル・クラーク(Mitchell Clarke)氏が11日に行われた安全保障に関する会議で、米政府の「国際武器取引規制(ITAR)」に基づいてアクセスが制限されていた約30ギガバイトの「慎重に取り扱うべきデータ」が盗まれたと説明した。

 クラーク氏はハッキング被害を受けた企業名は明かさなかった。F35戦闘機やP8哨戒機の情報のほか、豪海軍の新造艦1隻の「艦長席まで拡大表示できる」3次元図面データも盗まれたという。

 ハッカーは「チャイナチョッパー」と呼ばれるツールを使い、インターネットサーバー経由で不正にアクセスしていたとクラーク氏は語った。専門家によると、チャイナチョッパーは中国のハッカーが広く利用しているという。

 アデレード(Adelaide)で取材に応じたクリストファー・パイン(Christopher Pyne)国防産業相は、ハッカーの侵入を許した情報は「商業的」なもので「機密扱いではなく、軍事面での危険はない」と述べた。その上で、総事業費500億豪ドル(約4兆4000億円)に上る「世界最大」の次期潜水艦調達計画を進めるオーストラリアを標的としたサイバー犯罪が増えているとの見方を示した。(c)AFP