ペスト流行のマダガスカル、刑務所への訪問禁止 死者36人に
このニュースをシェア
【10月7日 AFP】インド洋(Indian Ocean)の島国マダガスカルの当局は6日、ペストの感染拡大を防ぐため、刑務所への訪問を禁止すると発表した。刑務所管理者は「受刑者をペストから守るためだ」と述べた。この措置は流行が最も深刻な2地域の7刑務所に適用される。
当局は同日、8月以降にペストに感染したとみられる患者は258人になり、うち36人が死亡したと発表した。
政府は首都アンタナナリボ(Antananarivo)での集会を禁止し、大学2校も閉鎖に追い込まれた。地元メディアによると、アンタナナリボの専門病院はひっきりなしに訪れるペストに感染した患者に対処しきれずにいる。医療施設の前にはマスクや薬を買おうとする人々が群がり、長蛇の列ができている。
今回の流行では、感染したネズミからノミを媒介として拡散する腺ペストと、ヒトからヒトへ伝染する肺ペストの両方が発生している。マダガスカルは毎年のようにペストの流行に見舞われているが、今年の流行は都市部にその影響が及ぶ異例のケースで、世界保健機関(WHO)は伝染の危険性が高まると懸念している。WHOはマダガスカルを支援するため抗生物質120万回分を送ると発表した。
今回の感染のほとんどは、危険性がより高く、近くでせきをすることでヒトからヒトに感染する肺ペストとみられている。肺ペストは、治療を受けなければ感染後18~24時間以内という短時間で死亡する恐れがあるが、抗生物質を早期に使用することで治療することができる。
「黒死病」として知られる腺ペストは中世の欧州で約2500万人の命を奪ったとされるが、現代ではめったにみられなくなっている。(c)AFP