【10月6日 AFP】2017年ノーベル文学賞(Nobel Prize in Literature)の受賞が決定した日本出身の英作家カズオ・イシグロ(Kazuo Ishiguro)氏(62)は、ロックスターになることを夢見た時代を経て、その後にソーシャルワーカーとなり、作家として活動を始めたのはその後だった。

 日本に生まれ英イングランド(England)で育ったイシグロ氏は、家では両親と日本語で会話していたとされる。彼の作品では常にこの二重性が探索され、それが作品に魅力を添えていると本人は語っている。

 ロンドン(London)北部にある自宅の庭で開いた5日の記者会見でイシグロ氏は、「私が世界を見るときはいつも、部分的に両親の目を通して見ていた。だから、私には常に日本人としての一面がある」と述べ、「当時それは作家として執筆していた私にとって、とても好都合だった。なぜなら、文学が非常に国際的になり始めていた時期だったからだ」と語った。

 1980年代初頭から傑出した作家として活動し続けるイシグロ氏は、8作品を執筆し、さらに映画やテレビの台本も手がけてきた。同氏の作品は世界数十の言語に翻訳され、数多くの賞を受賞している。

 だが、同氏は一部の現代作家と比べ、表に出ることはそう多くなかった。

 同氏の最も良く知られている作品「日の名残り(The Remains of the Day)」は1989年、英語で書かれた小説を対象とした文学賞としては世界で最も権威がある英「ブッカー賞(Man Booker Prize for Fiction)」に輝いた。同作品は映画化され、アンソニー・ ホプキンス(Anthony Hopkins)さんやエマ・トンプソン(Emma Thompson)さんらが出演し、オスカー(Oscar)にもノミネートされた。

 イシグロ氏は後に、同作品をわずか4週間で書き上げたと語っている。

 より最近の作品では、「私を離さないで(Never Let Me Go)」(2005年)と「わたしたちが孤児だったころ(When We Were Orphans)」(2000年)がよく知られている。