【10月5日 AFP】貧困にあえぐインド洋(Indian Ocean)の島国マダガスカルで伝染性の高い感染症のペストが流行しており、過去2か月間で30人が死亡した。当局が4日、発表した。

 衛生当局のマニトラ・ラコトアリボニー(Manitra Rakotoarivony)氏は声明で、「ペストの感染が疑われる患者はこれまでに194人確認されており、このうち30人が死亡した」と述べ、ペストによる死亡者数の情報を以前の25人から更新した。

 マダガスカルは1980年以降、ほぼ毎年のようにペストの流行に見舞われている。森林火災から逃れたネズミが流行の原因となる場合が多い。しかし、現在の流行は都市部にその影響が及ぶ異例のケースで、伝染の危険性が高まっていると世界保健機関(WHO)は指摘している。

 政府はペスト感染の拡大を減速させるために、首都アンタナナリボ(Antananarivo)での集会を禁止。市民の間ではパニックが広がっており、薬局の前にはマスクを買い求める人々の長蛇の列ができている。

 WHO当局のシャーロット・ンジャエ(Charlotte Ndiaye)氏は、市民の不安を払拭(ふっしょく)しようと、「ペストはまるでこの世の終わりのようだが、他の病気と変わらない」「幸運にも、この病気には有効な治療法があり、無料で提供されている」と呼び掛けている。

 今回の流行では、感染したネズミからノミを媒介として拡散する腺ペストと、人から人へ伝染する肺ペストの両方が発生している。肺ペストは、未治療では感染後18~24時間以内と短時間で死亡する恐れがあるが、抗生物質の早期使用で治癒する可能性がある。(c)AFP