イラク歴戦の狙撃手、ハウィジャ奪還作戦で死亡 「ISを320人殺した」
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【10月1日 AFP】「狙撃手のシャイフ(長)」として名をはせたベテラン狙撃手アブ・タフシン・サルヒ(Abu Tahsin al-Salhi)氏(63)が、イスラム過激派組織「イスラム国(IS)」が制圧していたイラク北部ハウィジャ(Hawija)の奪還作戦中に死亡した。サルヒ氏が属する民兵組織が9月30日に明らかにした。
サルヒ氏は1973年の第4次中東戦争に参加した経験もあるベテラン狙撃手で、これまでに少なくとも320人のIS戦闘員を射殺したと語っていた。だが、政府軍のIS掃討作戦に参加しているイスラム教シーア派(Shiite)系民兵組織「人民動員隊(Hashed al-Shaabi)」のアフメド・アサディ(Ahmed al-Assadi)報道官によるとサルヒ氏は9月29日、IS最後の拠点ハウィジャに向けて進軍中にイラク北西部で殺害された。
サルヒ氏の葬儀は9月30日、イラク南部の港湾都市バスラ(Basra)近郊で営まれた。同氏と親しかったアフマド・アリ・フセイン(Ahmad Ali Hussein)氏によれば、仲間の兵士らの間でサルヒ氏は「狙撃手の長」、「タカの目」などと呼ばれていた。
大柄で白髪交じりの顎ひげを生やしたサルヒ氏は、白と黒のチェック柄スカーフと指なし手袋を身に着けてオフロードバイクを乗りこなし、オーストリア製のライフル銃「ステアー(Steyr)」を常に携帯していた。
人民動員隊の動画の中で、サルヒ氏は狙撃手として過ごした人生を振り返っていた。1973年の第4次中東戦争でイラク部隊に参加しゴラン高原(Golan Heights)で戦ったことを皮切りに、サダム・フセイン(Saddam Hussein)時代のイラクでイラン・イラク戦争(1980~88年)、クウェート侵攻(1990年)に参加し、フセイン政権崩壊につながった2003年のイラク戦争では米国を相手に戦った。
サルヒ氏は動画の中で「今日はやつら(ISの戦闘員)を2人殺した。話にならん。俺は最低でも4人やるんだ」と話していた。「(2015 年のISとの戦いで)俺はやつらを173人殺した。今では320人だ」 (c)AFP