【10月15日 AFP】タイの首都バンコク(Bangkok)のシックなレストランで、未知への挑戦をいとわない食通らが舌鼓を打っているというメニューを紹介しよう。ゴカイをあえたスイカのサラダ、カイコ入りチェリートマトサルサを添えたナチョス、コオロギ粉のパスタ──。この店では、虫をベースにした料理を提供している。

 タイでは昔から農民が、タンパク質を豊富に含む虫をおやつ代わりに好んで食べてきた。ただ階級格差が根強いこの国では、虫は「貧者の食べ物」というネガティブなイメージで捉えられることが多かった。

 ところが持続可能性という世界の食の最新トレンドにバンコクの美食家らも注目するようになり、高級レストランのメニューにも虫たちがはい上がってきた。

 虫をテーマにしたバンコク初の高級ディナーを誇るとうたうレストラン「インセクツ・イン・ザ・バックヤード(Insects in the Backyard、裏庭の虫の意)」を最近訪れた、化粧品業界で働くラッタ・ブッサコーンヌン(Ratta Bussakornnun)さん(27)は、テーブルに着いた当初は半信半疑だったと認めた。

 ラッタさんいわく、裕福なタイ人の多くが、虫は「食欲をそそらないし汚い」と思っている。しかし食事が終わる頃にはすっかり気に入ってしまったという。

 静かなジャズが流れるほの暗い店内でラッタさんは、「ゴカイをトッピングしたホタテと、魚のフィレのアリの卵ソース添えを今食べたんですが、おいしかったです」と笑顔で語った。「盛り付けもきれいで、洗練された印象を受けます」