【9月29日 AFP】ジカ熱による出生異常の原因が、2013年ごろに起きたとみられるジカウイルスの突然変異であると考えられることが、28日に米科学誌サイエンス(Science)に掲載された論文により明らかとなった。論文では比較的症状の軽い病気であったジカ熱が、世界的な脅威へと変わった状況が初めて明らかにされている。

 論文によると、仏領ポリネシア(French Polynesia)で2013年に蚊を媒介するなどして感染するジカ熱が大流行する以前、「prM」と呼ばれる構造タンパク質の一種に突然変異が起きたと考えられるという。

 ウイルスの保護覆ともいえるprMの変異で、以前よりもジカウイルスが発育期のネズミや人間の脳細胞を破壊するようになったことが、今回の研究により明らかとなったという。

 この変異は「S139N」として知られている。アミノ酸の一種であるセリンを、同じくアミノ酸のアルギニンに置き換えるもので、2010年か2016年の間にジカウイルスのゲノムにもたらされた「膨大な変化の一つ」だという。

 ジカウイルスは1947年、ウガンダにおいてサルから初めて発見されたが、人への感染は発疹や軽い症状が出る程度で、すぐに治まるものだった。

 しかし、2015年にブラジルで大流行した時には、「小頭症」と診断される新生児が相次いだ。(c)AFP