アフリカ先住民、「環境保全」名目で虐待対象に 英NGO報告
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【9月26日 AFP】英人権保護団体「サバイバル・インターナショナル(Survival International)」は25日、世界自然保護基金(WWF)などの環境保全団体から資金提供を受けた自然保護官らが、アフリカ中部の先住民に対し組織的な虐待を行っているとする報告書を発表した。
同報告書には、カメルーン、コンゴ民主共和国、中央アフリカに住むピグミー(Pygmy)と総称されるバカ(Baka)やバヤカ(Bayaka)といった少数民族に対し、1989年以降に発生した虐待事例200件以上が記録されている。
ピグミーは、コンゴ(Congo)川流域の熱帯雨林に脈々と暮らしてきた狩猟採集民族。サバイバル・インターナショナルによると、WWFや野生生物保全協会(WCS)といった世界最大規模の関連団体の一部が、ピグミーを先祖代々の居住地から「保全という名目」で不法退去させているという。
これを受けてWWFは、同団体ではそのような自然保護官を雇用していないとした上で、報告されている虐待については「断固容認できない」という見方を示した。
サバイバル・インターナショナルは、国立公園の新設に伴い、生活の糧を得るために狩猟する先住民が密猟者扱いされていると指摘。「嫌がらせや殴打・拷問を受け、殺される人もいる。これらの残虐行為に及んでいる密猟対策班は、やはり同じ保護団体から資金や装備の提供を受けている」と訴えている。
さらに、大多数の事例は報告されないまま闇に葬られ、報告された「悲惨な事例」は氷山の一角にすぎないと警鐘を鳴らしている。(c)AFP