【9月26日 AFP】メキシコ中部で発生した地震で建物の損壊や倒壊が相次いだことをめぐり、違法な建築や行政側の怠慢を指摘する声が出ている。建物の倒壊現場などでは現在も救助活動は続けられているが、既に犠牲者数は300人超に上り、生存者の発見も厳しい状況となっている。

 特に関心が集まっているのが、首都メキシコ市(Mexico City)南部にあり、建物の倒壊で生徒19人が犠牲になったエンリケ・レブサメン(Enrique Rebsamen)初等中等学校だ。地元メディア報道によると、学校は住宅建設予定地に違法に建てられていたという。

 地元メディアは、この学校が不正な書類を基に運営されていたと報道。しかし、アウレリオ・ヌニョ(Aurelio Nuno)教育相、メキシコ市市長、地元自治体幹部らが責任のなすり合いを繰り広げている。

 ヌニョ教育相は地元テレビ「テレビサ(Televisa)」に対し、この問題で調査を指示したと述べ、不正が事実であれば非常に重大だと語った。

 メキシコ政府に対しては、地震後も依然として安否不明なままの身内を抱えた家族からの批判も噴出している。

「政府の言うことはうそばかりだ」と言うアネル・ヒメネスさん(42)は、会計士のいとこ(30)が勤めていた7階建てのビルが地震で倒壊し、いとこはまだがれきの中で身動きが取れなくなったままだという。「政府の人間は一人も顔を見せやしない。ぴかぴかの靴を履き、汚れ一つないヘルメットをかぶった下っ端役人をよこすだけだ」

 政治評論家らは、地震が発生したことで、大統領選から1年もたたずして現政権の信頼性の欠如が露呈したと指摘している。

 メキシコの日刊紙レフォルマ(Reforma)が実施した世論調査では、今回の地震におけるエンリケ・ペニャニエト(Enrique Pena Nieto)大統領の対応を支持した回答者は35%にとどまっている。(c)AFP/Jean Luis ARCE