魚にも性格がある 問題を回避するか探るか個体によって差 英研究
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【9月26日 AFP】魚には各個体によって異なる複雑な性格があることが、英大学の研究チームが25日に発表した研究結果で明らかになった。
英エクセター大学(University of Exeter)の研究チームは、トリニダード(Trinidad)島原産のグッピーを使って、さまざまなストレスがかかる状況で各個体がどのように行動するかを観察し、その反応に大きな違いがみられることを発見した。
研究チームは、さまざまなレベルのストレスを引き起こすように考案された状況で、グッピーの各個体がどのように対処するかを調べた。その結果、グッピーの挙動については、単にリスク選好やリスク回避としてだけでは説明がつかないことが分かった。
エクセター大の生態系・環境保全センター(CEC)のトム・ハウスレイ(Tom Houslay)氏は、「不慣れな環境に置かれた際のストレスの多い状況に対処するために、グッピーはさまざまな方法をとることが分かった。多くは隠れようとするが、逃げようとする個体もいれば、慎重に問題を探る個体もいる」と話す。
これらの反応の違いは時間がたっても、状況が異なっても一貫して認められ、「グッピー全個体の行動が状況に応じて変化しても、例えば、よりストレスが高い状況では全個体がより用心深くなるなどの場合でも、個体間の相対的差異は変わらなかった」という。
実験では、低度のストレスを形成する目的でグッピーを個別に不慣れな水槽に移したり、捕食性の鳥や魚の模型を水槽に入れることでより高いレベルのストレスを発生させたりした。
実験の結果、捕食動物の模型を入れることでグッピー全体がより用心深くなった一方、各個体間で明確に異なる性格は依然として保持されることが明らかになった。
CECのアラステア・ウィルソン(Alastair Wilson)氏は、「私たちの研究の興味は、このようにさまざまな性格がなぜ存在するかにあり、次の段階では性格や関連特性に内在する遺伝的な特徴を調べる予定だ」と説明。「目標は、生物種の進化に伴って、さまざまな行動的戦略がどのようにして存続してきた可能性があるのか、進化の過程に関する知見を得ることだ」と述べている。
「トリニダード産のグッピーにみられるストレス状況への行動対処法の不変性実験(原題:Testing the stability of behavioural coping style across stress contexts in the Trinidadian guppy」と題された今回の研究論文は、英生態学会(British Ecological Society)発行の科学誌「ファンクショナル・エコロジー(Functional Ecology)」に掲載された。(c)AFP