NFLで過去最大級の抗議行動、トランプ大統領の発言に反発
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【9月25日 AFP】ドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領が試合前の国歌演奏で人種差別への関心を喚起するために膝をつく選手との対立を激化させる中、米ナショナル・フットボール・リーグ(NFL)では24日、各チームが抗議行動の波を広げている。
米国歌「星条旗(The Star-Spangled Banner)」の演奏中に膝をつくことを選んだ選手に対し、トランプ大統領は22日、解雇されるべき「クソ野郎ども」とコメントして批判の嵐に火をつけた。
トランプ大統領は24日にもツイッター(Twitter)で自身の発言を上塗りし、一連の抗議が続く限り、ファンはNFLの観戦をボイコットするべきだとして、「選手たちが国旗や国を軽視することをやめるまで、NFLファンが試合に行くのを拒否すれば、すぐに変化が見られることだろう。やつらを解雇にするか出場停止にしろ!」と投稿した。
それでもこの日、米国で最も高い人気を誇るNFLの選手たちはひるむことなく、サンフランシスコ・フォーティナイナーズ(San Francisco 49ers)の元QBコリン・キャパニック(Colin Kaepernick)が2016年に抗議活動を開始して以降では最大級のデモを繰り広げた。
英ロンドン(London)のウェンブリー・スタジアム(Wembley Stadium)で開催されたジャクソンビル・ジャガーズ(Jacksonville Jaguars)対ボルティモア・レイヴンズ(Baltimore Ravens)の試合では、両チームの大多数の選手が膝をついた。
米ナッシュビル(Nashville)では、シアトル・シーホークス(Seattle Seahawks)とテネシー・タイタンズ(Tennessee Titans)の両チームが国歌演奏の際にフィールドに姿を現さなかった。シーホークスはキックオフ直前に声明を発表し、「この国の有色人種を苦しめる不正に賛成する気はない」と表明した。
■「深く失望した」
第51回スーパーボウル(Super Bowl LI)を制したニューイングランド・ペイトリオッツ(New England Patriots)も、本拠地フォックスボロ(Foxborough)で15選手が国歌演奏の際に膝をついた。
スター選手のQBトム・ブレイディ(Tom Brady)は起立していたものの、チームメートと腕を組んでいた。報道によると、これらの抗議行動に対して一部のファンが「立ち上がれ!」と合唱するなど、スタンドのあちらこちらでブーイングが聞こえていたと伝えられている。
トランプ大統領の友人で大統領選では寄付をしたとされるペイトリオッツのロバート・クラフト(Robert Kraft)オーナーは声明を発表し、大統領の22日のコメントには、「深く失望した」と述べた。
シカゴ(Chicago)では、シカゴ・ベアーズ(Chicago Bears)との一戦前に、ピッツバーグ・スティーラーズ(Pittsburgh Steelers)がロッカールームに残って国歌演奏に耳を傾けるという方法を取った。
黒人でスティーラーズのマイク・トムリン(Mike Tomlin)ヘッドコーチ(HC)は、この決断は侮辱を意図したものではなく、むしろ「こうした状況とのチームの関わりを排除する」ための判断であったと説明した上で、米CBSニュース(CBS News)に対し、「わが国が大きな分断にさらされている」と述べた。
デトロイト(Detroit)では、国歌斉唱を行った男性歌手が曲の最後に膝をつくという場面が見られた。デトロイト・ライオンズ(Detroit Lions)の選手は少なくとも8人が膝をつき、ほかの選手は腕を組んでいた。
トランプ大統領は再びツイッターに、「国家と国に対する素晴らしい連帯だ。起立して腕を組むのは良いことだ。膝をつくことは容認できない」と投稿し、抗議行動を批判した。(c)AFP/Daniel Woolls with Rob Woollard in Los Angeles