【10月15日 AFP】米ニューヨーク(New York)にあるキリスト教会の地下に、同性愛者の権利を訴える草分け的存在だった英作家オスカー・ワイルド(Oscar Wilde)を奉る無宗派の寺院が誕生した。

 宗教画風のアート作品が多数飾られたこの寺院は、芸術家のデービッド・マクダーモット(David McDermott)氏とピーター・マクガフ(Peter McGough)氏が開設した。週5日開放され、結婚式などの個人利用も可能だという。

 この寺院の設置を受け入れたのは、同市グリニッチビレッジ(Greenwich Village)にあり、性的少数者(LGBTQ)も多数礼拝に訪れるビレッジ教会(Church of the Village)だ。米国における同性愛者権利運動の発祥地とみなされているバー「ストーンウォール・イン(Stonewall Inn)」もすぐそばにある。

 アイルランド生まれのオスカー・ワイルドは同性愛行為をとがめられ、1895年に重大わいせつで有罪判決を受け、主に英南部レディング(Reading)刑務所で2年間の重労働刑に服した。

 今回の企画を取りまとめたキュレーターのアリソン・ジンジェラス(Alison Gingeras)氏は、「オスカー・ワイルドは、反抗心を抱き、社会を動かし、個性を持つことは人間生来の徳だとして、われわれ皆に反抗を呼び掛けた」と語った。

 マクダーモット氏は、この寺院には「宗教上の教義はなく、ゲイやレズビアン、バイセクシャル、トランスジェンダーの平等権のために長年闘い続けた重要な歴史的人物に敬意を表する」場所だとしている。

 ビレッジ教会のジェフ・ウェルズ(Jeff Wells)牧師は、「われわれが徹底した包摂性と呼んでいる、本教会の精神としっかり合致している」として、寺院との共生を歓迎している。(c)AFP/Jennie MATTHEW