モバイル決済、シェア自転車… 日本は時代の流れについていけるのか
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【9月13日 国是直通車】中国で暮らして5年以上、中国の発展の速さを身をもって感じている。日本を確実に上回っている技術もある。例えば、買い物の際にはアリペイ(Alipay)やウィーチャットペイ(WeChat Pay)が当たり前になった。この1年でモバイク(Mobike)やofoなどのシェア自転車も急速に普及した。この2点に関して中国は日本の先を行っている。見習うべきだろう。
北京(Beijing)の人たちは、毎日スーパーやコンビニで基本的に現金は使用せず、携帯電話を取り出してモバイル決済で会計を済ます。私はずっと現金払い派だったが、ある時ふとコンビニでモバイル決済を試してみたら、あっという間に支払いが済み、非常に便利だと感じた。それ以来、ずっとモバイル決済を利用している。今では出前も切符を買うのもモバイル決済だ。
こういった光景は日本ではほとんど見かけない。日本人はやはり現金で支払う人が多いようだ。クレジットカードを持っていない人だっている。原因はおそらく、慎重な日本人は個人情報の漏えいに対し比較的敏感で、カード番号や口座番号が人の手に渡るのを嫌がるからだろう。クレジットカードを使い過ぎて破産に追い込まれる人も少なくない。だから買い物をする際は、実際に銀行口座から下ろした現金を使用し、使い過ぎを防止するという考えの人もいる。
しかし、同様に中国でもモバイル決済の発展に伴い、一部の人は金銭感覚がまひして盲目的に高級品を買い、破産してしまう例が増えてきている。
また、中国でモバイル決算が急速に発展した背景には、偽札の横行も関係している。現金よりもモバイルモバイル決済の信用度が高いのだ。日本では逆に、偽札がほとんど出回っていないため、日本人の現金に対する信用度は高く、それ以外のものがあまり流行らないのだ。
モバイクやofoといったシェア自転車は、私の北京での生活をがらりと変えた。以前はどこへ行くにも地下鉄やバスを使い、そこから目的地まで歩いていた。現在ではちょっとそこまで行くにもシェア自転車を利用するし、地下鉄やバスを降りてから目的地まで利用することもある。また胡同(Hutong)など古い街並みの風景を楽しみながらサイクリングするのが好きなので、よく利用させてもらっている。自転車をこぐのが疲れたら、その場で乗り捨ててバスで帰宅することもできるので、非常に重宝している。
シェア自転車を使うようになってから気づいたことがある。北京市の自転車専用道路が広くなっていたり、増えたりしていることだ。天気と空気が比較的いい日は、やはり自転車に限る。もう一つ気づいたことは、路上駐車の多さ。ひどい場合は自転車専用道路に堂々と停めている車両もある。自転車に乗っていると、危険だと感じる。
しかし、中国のメディアも報じている通り、シェア自転車の弊害もある。車両を大量に増やしたことで、マナーの悪い利用者が所かまわず乗り捨てたり積み重ねたりして、人々の生活にも影響が出てきている。さらにわざと乱暴に扱ったり、いたずらをしたり、改造して自分の物にしてしまったりする者もいる。
日本では、中国のように好きな場所に乗り捨てるシステムは導入されていない。札幌市にモバイクが参入したが、所定の場所に駐輪しなければならない。日本の道路は北京の道路のように広くないし、自転車専用道路もあまりないため、シェア自転車が日本で普及するかどうかはまだ未知数だ。
日本人は何か新しい試みをしようとするとき、事前にメリットとリスクを想定し、問題点の解決策を先に打ち出してから、やっと実行に移す場合が多い。これは日本社会が既存のルールを遵守する習慣があるからで、なければ新たに対応するルールを作るのだ。しかし中国は逆に、先にまず試してみて、問題点があれば解決策を打ち出すというやり方だ。どちらのやり方の方がいいとは一概には言えないが、中国のこのスピード感が国の発展を加速していることは確かだ。私も中国の新しいサービスがもっと日本に輸入されればいいと期待している。
モバイル決済やシェア自転車から感じたことは、中国人の新しい物への適応能力が高いということだ。便利なものが市場に出ると、ものすごいスピードで流行りだす。日本人は比較的保守的な民族で、現在の生活が急激に変化することをあまり好まないため、どんなに便利なものでも普及するのには時間がかかるのかもしれない。(c)CNS/JCM/藤本隆/AFPBB News