【9月10日 AFP】シリア政府軍は9日、同軍がイスラム過激派組織「イスラム国(IS)」による同国東部デリゾール(Deir Ezzor)軍用空港の包囲網を破ったと述べた。デリゾール県内で米国が支援する戦闘組織からの攻撃も受けるISにとって新たな打撃となった。

 石油資源が豊富なデリゾール県はイラク国境に接しており、米国が支援するシリア民主軍(SDF)とロシアが支援するシリア政府軍のいずれにとっても戦略上の重要拠点。ISは2014年より同県の一部地域と県都デリゾール市の約6割を掌握しており、同市西側にある政府側の支配地2か所を包囲していた。

 シリア政府軍は今月5日にIS包囲網の一部を破り、8日に軍用空港の周囲にあったISの陣地に対する新たな攻撃を開始。国営シリア・アラブ通信(SANA)の報道によると、9日に入り「市の南西部にある墓地から進軍した部隊と、空軍基地(軍用空港)を保持していた部隊が合流した後、同空港周囲のISの包囲網を破った」という。

 シリア政府を支援するロシアは、同国軍の戦闘機がISに対する「大規模な空爆」を行って、空港包囲網を突破するシリア政府の地上軍を支援したと述べた。

 英国に拠点を置くNGO「シリア人権監視団(Syrian Observatory for Human Rights)」によると、空港のIS包囲網突破によりシリア政府軍は「デリゾール市西部で政府軍が掌握する地域全部をつなぐことができた」という。

 ISは最近、シリアとイラクで数々の敗北を喫しており、シリア政府軍のデリゾール包囲網突破は同組織にとって大きな打撃となる。

 ISは今年7月、イラク政府軍に同国第2の都市モスル(Mosul)を奪還され、同組織が「首都」と位置づけるシリアの都市ラッカ(Raqa)もすでに半分以上を失っている。デリゾール県は現在もその大半がISの掌握下にあるシリア国内最後の県。(c)AFP