中国出前市場、アリババとテンセントが火花 業界1位と3位が合併
このニュースをシェア
【9月11日 CNS】中国の出前サービス大手、餓了麼(Ele.me)が、同業の百度外売(Baidu Waimai)を吸収合併すると発表した。合併後も、百度外売のブランドと経営システム、社内人員の構成なども変わらず運営されるという。
百度外売は創立3年ながら、富裕層向け市場で良質な顧客を豊富に獲得してきており、人工知能(AI)宅配技術においても業界で先行する存在だ。今後は、餓了麼が百度外売の既存のブランド力を後押しする形で、ネットワークや資金、人材などを投入し、物流と代理商システムの開拓を進め、引き続き富裕層向け市場のローカルプラットフォームと配達プラットフォームの構築に力を入れる。
これに対し、餓了麼は中国最大のローカルプラットフォームとして取引規模と配達能力、融資能力などの面で優れている。餓了麼と百度外売の2大プラットフォームは相互補完的な関係だ。それぞれのユーザーと配達網、加盟飲食店などの領域で相乗効果を発揮し、市場のトップに躍り出るだろう。
アリババ(Alibaba)は、餓了麼に融資サポートを行っており、百度(Baidu)も株式交換の形で餓了麼の株主になった。アリババと百度は共に中国最高レベルのインターネット商品と技術を備えた実力者であり、世界的にも影響力のある投資企業である。アリババと百度はこの新たなプラットフォームに対し、ネットワークやAI技術、金融・保険などの全領域において、全力でバックアップすると約束した。
餓了麼の張旭豪(Zhang Xuhao)首席執行官は、「百度外売は当社にとって常に尊敬すべき同業者だった。サービスの品質と、配達スピードにおいて百度外売と当社の理念は一致しており、それが今回の合併の主な理由だ。アリババと百度のサポートの下、十分な力を蓄え、世界でも強い総合実力を持ったローカルプラットフォームとなるであろう」と述べた。
百度総裁の陸奇(Lu Qi)首席運営官は、「今回の合併を非常にうれしく思う。双方の消費者、社員、パートナーなど各界にとっても非常に胸躍るニュースだと思う。今後も技術の開発に大きく貢献していきたい」と述べた。
また、アリババの蔡崇信(Joe Tsai)執行副主席は、「アリババが餓了麼と提携してから1年間、双方の顧客に対し巨大な価値を提供してきた。餓了麼の現在の地位から見ても、上層部の卓越した戦略視点と執行力がうかがえる。合併後も、ネットワークや融資などの方面でさらに助力していきたい」と述べた。
餓了麼は2008年創業。現在、全国2000都市を網羅し、加盟飲食店は130万軒、ユーザーは2億6000万人、サービス・配達要員は300万人に上る。百度外売は2014年創業。100万社を超える優れた業者が加盟していることで知られる。現在、300都市を網羅、ユーザーは1億人以上。業界トップのAI物流調整システムを有する。
中国の調査会社iiMedia Researchのデータによれば、今回合併した2社と、美団外売(Meituan Waimai)、が業界3大巨人として、中国のオンライン出前市場の売上の9割以上を占めている。中国のIT調査会社、易観(Analysys)によると、2017年6月時点の各社携帯アプリ月間アクティブユーザーは、餓了麼3402万人、美団外売2989万7000人、百度外売1748万9000人だった。
iiMedia Researchが発表した2017上半期の中国オンライン飲食出前市場研究報告によると、餓了麼が市場売上額の41.7%を占め、美団外売が41.0%、百度外売はたったの13.2%だった。 AIを重視する百度は、早くから出前事業の縮小を考えていた。同社の李彦宏(Robin Li)CEOはかつて、「もしも美団と餓了麼を超えられないのであれば、出前業務は継続するか打ち切るか決断を下さなければならない」と話していた。
また、易観によると、2017年第2四半期の中国インターネット飲食出前市場の全体取引金額は459億5000万元(約7698億円)に上り、前年同期比で81.8%増加した。市場全体の83%のユーザーが富裕層で占められている。
餓了麼の後ろ盾はアリババ、一方の美団外売にはテンセント(Tencent)が付いている。アリババとテンセントというIT業界の2大巨頭による「出前戦争」は、この合併をきっかけに一層加熱するに違いない。(c)CNS/JCM/AFPBB News