中国・陝西省で妊婦が帝王切開を拒否され?病院から飛び降り死亡 病院と家族の説明が真っ向対立
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【9月10日 CNS】中国・陝西省(Shaanxi)楡林市(Yulin)第一医院で8月31日午後8時ごろ、陣痛が始まっていた妊婦の馬麗さん(仮名)が同医院の5階から飛び降りて死亡した。家族の話によると、馬さんは激しい痛みに耐えかねて帝王切開を望み、家族側も帝王切開手術に同意したが、病院側に拒絶されたという。しかし病院側は、帝王切開に反対したのは家族側だとして、双方の意見が食い違っているため、警察が介入して調査を行っている。
馬さんが亡くなった翌日の9月1日、インターネット上では「妊婦の死と病院が関係ないはずがない」「妊婦は2回も帝王切開の申請をして病院側に断られたから、投身自殺を図ったのではないか」などと様々な憶測が飛び交った。同3日、病院側は「馬さんは激しい陣痛で精神的に不安定になっていた。何度も陣痛室を抜け出すほどで、家族の方へ帝王切開の同意をお願いしていた。主治医と助産師、産婦人科主任も、家族の方に帝王切開を提案したが、同意は得られなかった。その結果、馬さんは陣痛に耐えかね、情緒不安定になり飛び降りてしまった。すぐに緊急手当を施したが、重傷であったため命を救うことができなかった」とする声明を発表した。
病院の声明を受けて、インターネット上でも「人の命に関わることなのに、家族は自然分娩を強要すべきではなかった」と家族を批判する意見と、「妊婦が病院内で命を落とすなんて、病院側が監督管理を怠っているのでは」と病院側を批判する意見の2つに分かれた。
馬さんの夫、延斌さんは5日、取材に対してその時の状況を説明した。「病院側の声明には納得がいかない。妻は2度耐え難い陣痛に襲われ、私たちは帝王切開をお願いしたが、病院側の回答は『至って順調。帝王切開の必要はない』というものだった。8月30日に妻は入院し、翌31日には病院側からの要求で、我々は『妊婦同意説明文書』にサインをし、この日の午後5時50分ごろに医師から『奥さんが陣痛室から出てきて帝王切開してくれと要求している』と連絡を受けたので、これもすぐに同意した。しかし、これに対し医師は、『検査をしてからでないと決められない、今のところ帝王切開の必要はない』と言った。約10分後、妻は陣痛室を抜け出して痛い痛いと叫んでいた。妻の辛そうな姿が見ていられず、急いで友人に電話し、帝王切開をしてくれる医師を知らないか尋ねていたが、電話を切って5分後ぐらいに妻がいなくなったと看護師に知らされ、慌てて陣痛室の中や別の階を探したが妻の姿はなかった。そして窓の外を見ると、妻が担架に横たわっていた」
同5日、夫の発言をもとに病院に問い合わせると、楊院長は『妊婦同意説明文書』を示した。家族は文書に、手書きで「(陣痛促進剤の)オキシトシンを使用し、自然分娩を希望」と加筆しており、馬さん本人と延さんのサインもあった。院長は「8月31日、馬さんの陣痛がひどいようだったので担当の李医師が2度、延さんに帝王切開を勧めたが、延さんと他の家族は2度とも『できれば自然分娩で』とはっきりと拒んだ。病院の監視カメラの映像では、音声は確認できないが、同31日午後5時すぎに馬さんが2度目の激しい陣痛に襲われ、陣痛室から出る際に家族に向かって土下座をしている様子が映っている。馬さんは、家族に対し帝王切開に同意してくれるよう懇願していた。しかし家族の同意は得られなかった」と説明した。
馬さんには応急処置が40分以上施されたが、手当のかいなく命を落とした。事故後は家族が極度に感情的になっていたため、遺族への具体的な説明はまだできていないという。(c)CNS/JCM/AFPBB News