【9月6日 AFP】フランスの化粧品大手「ロレアル(L'Oreal)」が、イギリス人のトランスジェンダーモデルを解雇したことを1日に認めた。同社は、多様性を打ち出すキャンペーンの一環として彼女を起用していたが、「我々の価値観と合致しない」として解雇したという。

 同ブランドは、「『ロレアル』は多様性を擁護する」とツイッター(Twitter)で声明を発表。「モンロー・バーグドルフ(Munroe Bergdorf)さんのコメントは我々の価値観と合致しないため、彼女とのパートナーシップを終わらせることにした」

 バーグドルフさんはジャマイカ人の父親を持つ、29歳のDJ兼トランスジェンダーの権利活動家。「ロレアル」は#allworthit(すべてに価値がある)と題されたキャンペーンで、5人のニューフェースの1人として彼女を起用し、「トゥルー・マッチ(True Match)」と呼ばれるメイクアップコレクションの5つの新色を紹介する予定だった。このファンデーションは、明るい色からダークブラウンまで28色のカラーバリエーションで展開し、世界中の人々の、異なる肌色や肌質に対応する。

 イギリス版ヴォーグ(Vogue)によると、バーグドルフさんは「ロレアル パリ(L’Oreal Paris)」の英国キャンペーンでフィーチャーされた初めてのトランスジェンダー女性だったという。しかしバーグドルフさんがフェイスブック(Facebook)に投稿した内容(今は削除)により、論争は巻き起こった。8月12日にアメリカ・バージニア(Virginia)州シャーロッツビル(Charlottesville)で起きた、人種差別の反対抗議運動をする人たちに白人至上主義者の車が突っ込み、女性が死亡した事件について言及したのだ。

 バーグドルフさんは「正直、私にはもう、白人による人種的な暴力について語る気力がない。そう、すべての白人たちよ」「もし白人たちが、自分たちの人種が地球上でもっとも暴力的で圧制的だと認め始めたら、口を聞いてもいい」と述べたことをイギリスのメディアは報じている。

「ロレアル」はイギリスのメディアに対し「今後も、美しさへの障壁を打ち破り、多様性を賛美することに専心していく」と述べた。(c)AFP