内戦で荒廃した街にアートで光を レバノン
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【9月24日 AFP】レバノンの首都ベイルート(Beirut)郊外の幹線道路から眺めたウザイ(Ouzai)地区は、無計画な開発によって街並みがごちゃごちゃしている印象を受ける。しかし思い切って足を踏み入れると、そこでは、低層の建物がストリートアートのキャンバスに様変わりしていた。
ベイルート南方の地中海(Mediterranean Sea)沿岸部にある荒廃したウザイ地区は、「ウズビル(Ouzville)」と名付けられたプロジェクトの参加アーティストらによって、建物の壁が鮮やかな青や赤、黄色や緑で彩られ、そこかしこに壁画やグラフィティアート、漫画のキャラクターが描かれて新たな息が吹き込まれている。
かつて、同地区に長く延びるビーチは、日光浴をするために遠方からわざわざやって来る客でにぎわった。しかし、1975~1990年のレバノン内戦(Lebanese Civil War)の間、国内各地から避難して来た人々が必要に迫られて行き当たりばったりに、その多くは無許可で家を建てていった。
プロジェクトの後ろ盾となっている不動産開発業者のアヤド・ナセル(Ayad Nasser)さんは1970年にウザイで生まれたが、内戦中は国外に避難していた。AFPの取材に対してナセルさんは、近くにある空港に飛行機で帰って来るたびに地域の荒廃ぶりに気付かされてつらかったと話し、「これからはウザイを大切にしていく」と語った。
1年半以上前にプロジェクトを始動したナセルさんは、ベイルートの一部地域、特にウザイの美化活動の一環として国内外のストリートアーティストらを招聘(しょうへい)。ウザイの地元住民らと一緒に、道路や建物を人目を引くほど鮮やかな色でペイントしていった。
現在、ペイントされた建物は140戸ほどに。そのうちの一部は地元住民自らが手掛けたものだ。(c)AFP/Sara Hussein