【9月11日 東方新報】中国・武漢市(Wuhan)の街並みに、歩行者側が赤信号になると自動的に遮断バーが下りてくるという新たな装置が出現し、インターネットでも話題になっている。歩行者の信号無視を防ぎ、信号が青へ切り替わると遮断バーが自動的に上昇し、歩行者の通行を許可するというものだ。

 中国人のマナー問題については切実な問題であり、とりわけ交通マナーにおいても「ルールは有って無きが如く」である。特に歩行者は、一般道であろうと高速道路であろうと関係なく、好き勝手に歩く。歩道と車道の別、横断歩道の有無、もちろん信号も関係ないのが現状だ。

 新装置の外観は、門のような大きなフレームで、上部には液晶モニターが備え付けられて、「赤信号時の横断禁止」「武漢市民としてマナーを守ろう」などといった警告文が流れている。信号が赤色に変わると、遮断バーが一定の速度で降りてきて、通行人が信号を無視して横断するのを阻止する。道路の左右からは警告音が流れ、「赤信号です、通行者は道路を渡らないで下さい」と呼びかける。信号が青に切り替わると、バーが上昇する。

 市民によると、道路は普段から歩行者と車両が多く、信号無視をする歩行者と車が混在することで交通渋滞を引き起こしていたが、この装置の設置後はその状況が好転したという。記者が足を止め5分ほど観察していると、歩行者は意識して規則を守り、信号無視を目撃することはなかった。

 現地公安局によると、装置は今年2月に導入。信号機に合わせて自動で動くため、交通整理員がロープを張ったり、笛を吹いたりする必要がなくなった。さらに歩行者の交通ルールの遵守率も格段に上がり、「信号無視」現象が大きく改善した。

 この装置を製造した武漢玖益交通設備工程有限公司では、すでに国内特許を申請中だという。責任者の趙成強(Zhao Chengqiang)氏は、「街中で人が流動し密集する道路では、多くのボランティアの人たちが交差点に立ち、信号の色が変わるたびに手動で遮断ロープを張って、歩行者の横断を管理していた。しかし、遮断ロープは信号無視をする自分勝手な歩行者にとっては、ただの紐でしかない。人力を消耗するだけでなく街のイメージにも悪影響を及ぼし、効率も効果もあまり良くない。そういったことから、今回この設備を開発する経緯に至った」と述べた。

 新装置により、歩行者に安全で秩序ある環境を提供でき、交通事故の減少や交通整理などの人件費の軽減にも役立っている。(c)東方新報/AFPBB News