人の寿命に「上限」あり、オランダ研究チーム
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【9月1日 AFP】栄養、生活、医療などの向上で人の平均寿命は延び続けているにもかかわらず、人の最高寿命の「上限」を発見したとする研究結果が8月31日、オランダの研究チームから発表された。
オランダのティルブルフ大学(Tilburg University)とエラスムス大学ロッテルダム(Erasmus University Rotterdam)の研究チームは、死亡時の正確な年齢の記録が残っているオランダ人約7万5000人のデータを分析し、女性の寿命の最高上限が115.7歳であると断定した。
過去30年間に及ぶデータから抽出したサンプルを調べた結果、男性の寿命の上限は女性よりやや短く、114.1歳だった。今回の研究を行った3人の科学者のうちの一人、ジョン・アインマール(John Einmahl)教授は述べた。
アインマール教授は、「平均すると人はより長生きになっているが、最年長のグループについては、この30年間でその年齢がさらに延びているわけではない」とAFPに語った。
また、オランダで95歳に達する人の数がほぼ3倍になっていることに触れつつ、「平均寿命は延びているが、ここにはある種の壁が確かに存在する」「それでも最高上限そのものは変化していない」と指摘した。
「寿命」は、個体が生存する期間がどのくらいかを表すのに用いられる用語。異なる年齢層の平均余命は、社会福祉の尺度となる。
米国の研究チームも2016年、人の寿命の上限に関する研究結果を発表している。ここでは、特に群を抜いて長寿命の人々の年齢が以前ほどの高齢には達していないと主張された。
アインマール教授の研究チームは、この主張に異を唱える。統計学の一分野「統計的極値理論(Extreme Value Theory)」を用いて導き出した今回の結論では、最高寿命は変動がほとんどなく一定であることが示されたと研究チームは説明している。
ただ、アインマール教授は、中には例外もあると述べ、122歳と164日生きたフランス人女性ジャンヌ・カルマン(Jeanne Calment)さんの名前を挙げた。1997年に死去したカルマンさんは、これまでで最も長生きした人物だ。
統計的極値理論は統計学の一手法で、データを測定し、寿命や災害などの事象の極限状態におけるさまざまな問題に答えを出す。
アインマール教授によると、今回の研究成果を「今後1か月くらいのうちに」査読学術誌に投稿する予定という。(c)AFP