【8月25日 AFP】1か月後に連邦議会の総選挙を控えたドイツで、4期目を目指すアンゲラ・メルケル(Angela Merkel)首相(63)の政党が選挙戦を有利に進めている。

 前週日曜日、ある主要討論番組は「メルケル、それともメルケルか──これがドイツ唯一の選択肢なのか?」との問いを投げかけた。直近の世論調査では、メルケル首相率いる「キリスト教民主・社会同盟(CDU/CSU)」が、ライバルの社会民主党(SPD)を支持率で大きく引き離している状況が浮き彫りとなったばかりだった。

 保守派の独日刊紙ウェルト(Die Welt)も社説で、メルケル「母さん」が12年続いているが、国内に「変化を求めるムードはない」と書いた。

 英国のEU離脱問題(ブレグジット、Brexit)やドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領政権の誕生などで世界が不安定な状況にあるなか、世界で最も影響力のある女性としばしば称賛されるメルケル氏は、各地の選挙演説で静かに自信をみなぎらせ、安定と継続のメッセージを有権者に送り続けている。

 メルケル氏の控え目な選挙運動とは対照的に、SPDのマルティン・シュルツ(Martin Schulz)党首は精力的に国内各地を周り、より公平なドイツを目指すと有権者に猛アピールしている。

 だが批評家らによると、シュルツ氏が約束する所得の均等化と教育およびインフラへの投資は、域内トップの経済と過去最低水準となっている失業率によって、有権者の心にはなかなか響かないという。

 数か月前の世論調査では支持率が急上昇し、「シュルツ効果」とまで呼ばれたが、前の欧州議会議長に寄せられた注目はほどなくして消え、立候補をめぐる興奮も同時に冷めた。

 最新の世論調査によると、CDU/CSUの支持率は38~40%で、これを追うSPDは22~25%となっている。