【8月23日 AFP】フランスのジェラール・コロン(Gerard Collomb)内相は22日、国内でテロ監視対象となっている人物の約3分の1が精神的な疾患を抱えているとの見方を示した。フランスでは南部の港湾都市マルセイユ(Marseille)で精神上の問題を抱える男が運転する盗難車がバス停に突っ込む事件が発生したばかり。

 21日にマルセイユで発生した事件では、ルノー(Renault)製のワゴン車が相次いで市内2か所のバス停に突っ込み、2人が死傷した。欧州で相次いで発生している車を使った突入事件を連想させたが、現地の捜査当局はテロとのつながりを示す証拠はないと説明。容疑者は精神的に不安定だったとしている。

 フランスでは、精神疾患を抱えた男らがイスラム過激派の襲撃を模倣したとみられる事件がここ1か月間で数件発生している。

 コロン内相はニュース専門放送局BFMTVの取材に対し、情報機関がイスラム過激派と判断した約1万7400人のうち、3分の1が精神的な問題を抱えているとの見方を示し、潜在的脅威となる患者を特定するために精神科の病院に協力を要請していくとした。

 同内相は「もちろん診療情報の秘匿は尊重しなければならないが、それと同時に重篤な疾患を抱えた人物による襲撃を回避する方法を見つけなければならない」と述べている。

 テロの専門家らは、メディアがイスラム過激派の襲撃を大々的に報道することで、暴力的傾向をもつ精神的に不安定な人物の模倣を誘発する恐れがあると長らく警鐘を鳴らしてきた。(c)AFP