【8月22日 AFP】(更新)ドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領は21日、アフガニスタンに関する新戦略について演説を行い、駐留米軍を性急に撤収させればイスラム過激派組織「イスラム国(IS)」などのテロ組織がつけ込む「空白」が生まれると警告した。増派に道を開き、米史上最長の戦争を早急に終わらせるという公約を事実上撤回した格好だ。隣国パキスタンがテロ組織に「安全な避難先」を提供することも容認しないと言明した。

 トランプ氏はバージニア(Virginia)州アーリントン(Arlington)にある米軍の統合基地から、就任後初めて米軍最高司令官としての国民向け演説を行った。

 トランプ氏はこれまで、16年に及ぶアフガニスタンでの戦争について、時間と経費の無駄だと批判していた。演説では、これまでに米兵数千人が死亡し、数兆ドルの戦費を投じてきたこの戦争について「私の直感は撤退だった」と発言。しかし、数か月の議論を経て「性急な撤収による結果は目に見えており、受け入れられない」との結論に至ったと説明した。

「性急に撤収すれば空白が生まれ、ISIS(ISの別称)や(国際テロ組織の)アルカイダ(Al-Qaeda)といったテロリストがすかさずそれを埋めるだろう。これは9.11(米同時多発攻撃)の前に起きたことだ」

 トランプ氏は駐留米軍の具体的な規模を公表することを拒んだが、ホワイトハウス(White House)の複数の高官によると、既にジェームズ・マティス(James Mattis)国防長官に最大3900人の増派権限を付与している。

 トランプ氏は演説で「パキスタンがテロ組織に安全な避難先を提供することはもう黙認しない」と強調。イスラム過激派の取り締まりを行わないなら、軍事支援を含む援助を見直す考えも示唆した。

 アフガニスタンの旧支配勢力タリバン(Taliban)について「軍事的な取り組みが効果を上げた後の段階で、いつか、タリバンも関与する政治的解決が可能かもしれない」と言及。ただ、その実現可能性や時期は誰にも分からないとした。(c)AFP