イスラエル観光客向け「対テロ講座」、パレスチナ人への恐怖あおると非難も
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【9月10日 AFP】パレスチナ自治区ヨルダン川西岸(West Bank)で、イスラエル人講師が見守る中、何人もの外国人が「撃て、撃て、撃て」と叫びながら手にした自動小銃を撃っている――だがこれは軍事訓練ではない。イスラエル軍の元兵士らが指導する「対テロ講座」だ。
受講していたのは、南アフリカからやって来た20人前後のユダヤ人観光客。標的は近くに設置された風船だ。
講師の一人、エイタン・コーエン(Eitan Cohen)さん(41)は受講者らに向かって、「訓練の目的は射撃の仕方を教えることではありません」「ここイスラエルにおける私たちのテロとの戦いについて理解してもらうことにあります」と話した。
エルサレム(Jerusalem)南方のイスラエル入植地エフラト(Efrat)近郊に位置する企業、キャリバー3(Caliber 3)は、2003年に警察官などプロの保安要員向けの訓練所として設立された。2009年以降は観光客向けの講座も開き、武器の扱い方のほかに、イスラエル軍で開発された格闘技「クラブマガ(Krav Maga)」を護身術として教えている。受講料は100ドル(約1万1000円)強だ。
あるプログラムでは、受講生らはプラスチック製のフルーツや木製の屋台が設置された模擬市場で「テロリストの襲撃」に出くわす。テロリストに変装しているのは講師らで、1人はパレスチナ人のようなヘッドスカーフを着用していた。
突然、戦闘服を着た講師らが受講者らに地面に伏せるよう叫び、ヘッドスカーフを着けていない方の「テロリスト」をナイフで倒した。
映画『ランボー(Rambo)』の主人公のような恰好をしたコーエンさん──戦闘服姿で額にサングラスを載せ、肩にはライフル、ベルトには拳銃を差している──は受講者らに対して、人混みでは常に警戒を怠らないよう説いた。キャリバー3のウェブサイトによると、コーエンさんは警察の精鋭部隊に所属していた元狙撃手だ。
「イスラエル軍兵士の真価と、私たちのテロリストとの戦い方を見せてあげましょう」と、イスラエル国旗を背にして語るコーエンさんを受講者らは写真に撮っていた。