【8月17日 AFP】慢性肺疾患のうち最も患者数が多い慢性閉塞性肺疾患(COPD)とぜんそくによって、2015年に世界で360万人が死亡していたことが明らかになった。呼吸器医学の専門誌「ランセット・レスピラトリー・メディシン(The Lancet Respiratory Medicine)」に17日、研究論文が発表された。

 喫煙や環境汚染が主な原因とされるCOPDによる死者は約320万人で、ぜんそくによる死者が約40万人だった。

 COPDには肺気腫や気管支炎が含まれ、罹患(りかん)すると呼吸が困難になる。研究によると、罹患率はぜんそくの方がCOPDの2倍だが、死亡率はCOPDの方がぜんそくの8倍にもなる。

 どちらの疾患も治療はそれほど困難ではないが、診断を受けなかったり、誤診されたり、適切な治療がされていなかったりする患者が少なくない。

 世界保健機関(WHO)によると2015年の世界全体の死因で、COPDは4番目に多い。1位は心疾患で約900万件、2位が脳卒中で約600万件、3位が下気道感染で320万件超だった。

 研究を主導した米ワシントン大学(University of Washington)指標評価研究所(IHME)のテオ・フォス(Theo Vos)教授らは、188か国を対象に1990~2015年の各国の罹患者数と死者数を分析した。この間、COPDの罹患率と死亡率は減少していたが、人口増加により死者数は12%増加した。ぜんそくについては、罹患率は13%増加して患者数が3億58000万人に達したが、死者数は4分の1以上減少した。

 フォス氏は声明で「この二つの疾患は心疾患やがん、糖尿病など、その他の非伝染性の疾患に比べて注目されていない」と指摘している。(c)AFP