「マジカル・ニグロ」、米ハリウッド映画に見る人種差別問題
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【8月22日 AFP】米映画界で文化的意識の高い批評家から、けなされること必至の人物設定がある──「マジカル・ニグロ(Magical Negro)」という白人の主人公を助けるためだけに登場する黒人のキャラクターだ。
『ゴースト/ニューヨークの幻(Ghost)』(1990年)でウーピー・ゴールドバーグ(Whoopi Goldberg)が演じた霊媒師オダ・メイ・ブラウン(Oda Mae Brown)から、『パッセンジャー(Passengers)』(2016年)でローレンス・フィッシュバーン(Laurence Fishburne)が演じた宇宙移民船の甲板長ガス・マンキューゾ(Gus Mancuso)まで、「マジカル・ニグロ」とは米国の伝統的語り口の中に深く根を下ろした比較的新しいツールだ。
「マジカル・ニグロ」は白人のメインキャラクターを助けるために、自らが持っている古くからの知恵や神秘的な力を差し出す。そして、時には天使の格好さえしている。
この役回りが多い俳優の一人と言えば、間違いなくモーガン・フリーマン(Morgan Freeman)だろう。その作品には、『ロビン・フッド(Robin Hood: Prince of Thieves)』(1991年)、『ショーシャンクの空に(The Shawshank Redemption)』(1994年)、『ブルース・オールマイティ(Bruce Almighty)』(2003年)と2007年の続編『エバン・オールマイティ(原題、Evan Almighty)』、クリストファー・ノーラン(Christopher Nolan)監督版「バットマン(Batman)」3部作(2005年、2008年、2012年)、そして最近ではリメイク版の『ベン・ハー(Ben-Hur)』(2016年)などがある。
しかし、ポップカルチャー情報ウィキサイト「TV Tropes」は、「それほど深い知恵を持っているのなら、マジカル・ニグロは何故、自ら立ち上がって世界を救わないのだろう?」との問いに「それは絶対に起きない」と書いている。