【8月8日 AFP】イスラエルの考古学者は7日、北部のガリラヤ湖(Sea of Galilee)近くで発掘調査を行っている同国と米国の考古学者チームが、聖ペテロ(Saint Peter)らイエス・キリスト(Jesus Christ)の使徒3人の生まれ育った町を発見した可能性があると明らかにした。

 イスラエルのガリラヤ考古学キネレット研究所(Kinneret Institute for Galilean Archeaology)の考古学者、モディハイ・アビアム(Mordechai Aviam)氏によると、ガリラヤ湖(別名・ティベリアス湖Lake Tiberias)付近で、帝政ローマ時代の失われた町ユリアス(Julias)が見つかったもようだ。

 1世紀に帝政ローマに仕えたユダヤ人の歴史家、フラウィウス・ヨセフス(Flavius Josephus)は、ユリアスは西暦30年ごろ、新約聖書に登場するベツサイダ(Bethsaid)の跡地に造られたと記している。ヨハネの福音書(Gospel of John)によると、聖ペテロは漁村のベツサイダに生まれた。

 漁師出身の聖ペテロは、キリスト教ではイエス最初の弟子の一人と認められており、カトリック教会では初代教皇と見なされている。同じく12使徒である聖ピリポ(Saint Philip)、ペテロと兄弟の聖アンデレ(Saint Andrew)も、ベツサイダに生まれたか住んでいたと考えられている。

 考古学者らは長年、ユリアスがあった場所の特定に取り組み、主な候補地を3か所に絞り込んでいた。

 アビアム氏はAFPに対し、これまでに発掘が行われたのはその中で1か所だけだが、その場所が使徒3人のふるさととみられると説明している。

「陶器の破片や硬貨、公衆浴場跡を発見した。小さな村ではなく、ユリアスの可能性がある町だということを示しているとみられる。これらの発掘成果に基づくと、ここが恐らくベツサイダがあった場所だと考えられる」(同氏)

 アビアム氏によると、数キロ離れた場所でも作業が進められており、ローマ時代以前の痕跡がさらに見つかればベツサイダがあった場所かどうかの確認に寄与するとみている。(c)AFP