【8月5日 AFP】地球の温暖化を抑制できなかった場合、異常気象による欧州での年間死者数は現在のおよそ3000人から今世紀末ごろまでには50倍の15万2000人に膨れ上がる可能性があると警鐘を鳴らす論文が5日、発表された。

 欧州委員会(European Commission)の研究者らがランセット・プラネタリー・ヘルス(The Lancet Planetary Health)で発表した論文によると、死者数が特に上昇するとみられているのは、温暖な南欧だという。この地域では温暖化による年間死者数が現在の100万人中11人から約700人に増加するという。

 そうした死者を出す主な要因となるのは熱波で、将来的には気象関連の死因のおよそ99%は熱波になるとしている。熱波による現在の年間死者数はおよそ2700人だが、2100年までには15万1000人を上回る可能性もあると論文は述べている。さらに、「地球温暖化を緊急事態として受け止めず、適切な対策を取られなければ、今世紀末までに欧州では年間約3億5000万人が有害な異常気象にさらされる恐れがある」としている。

 論文では、熱波による死者数は5400%増、沿岸部の洪水では3780%増、森林火災では138%増、河川の氾濫では54%増、暴風では20%増になると予測されている。(c)AFP/Mariëtte Le Roux