ランサムウエア拡散阻止の「英雄」、不正送金ウイルス作成で逮捕
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【8月4日 AFP】世界各地のコンピューターネットワークに被害を与えたランサムウエア(身代金要求型ウイルス)「ワナクライ(WannaCry)」の拡散を食い止める方法を今年5月に発見し、英雄と称賛されていた英国人のサイバーセキュリティー専門家が、銀行システムを狙った不正送金ウイルスを作成したとして訴追され、米国で逮捕されたことが3日分かった。
米司法省の発表によると、マーカス・ハッチンス(Marcus Hutchins)容疑者は7月12日付けの訴状に基づき、ハッカーの国際イベント「デフコン(Def Con)」が先週末に開催されたラスベガス(Las Vegas)で2日に身柄を拘束された。
ハッチンス容疑者には、2014年7月~翌15年7月にコンピューター不正行為を共謀した疑いなどがかけられている。訴状によると、ハッチンス容疑者はもう一人の人物と共に「クロノス(Kronos)」と呼ばれる不正送金ウイルスを作成・拡散させたとされる。
「クロノス」はネットバンキングのユーザー名とパスワードを盗むマルウエア(悪意のあるソフトウエア)で、英国やカナダ、ドイツ、ポーランド、フランスなどの銀行システムを攻撃できるよう作られていたという。
ハッチンス容疑者は5月、世界で猛威を振るったランサムウエア「ワナクライ」の拡散を「当面の間」阻止する「キルスイッチ(無効化措置)」を発見し、英雄とたたえられていた。「ワナクライ」は標的としたコンピューターのデータにロックを掛けて利用不能にした上で、解除と引き換えに仮想通貨「ビットコイン(Bitcoin)」での身代金の支払いをユーザーに要求する手口で、世界各地で被害が続出した。(c)AFP