ビーチの地下に広がる迷宮 「負の遺産ツアー」で癒やす戦争の傷
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【8月11日 AFP】オランダ・ハーグ(Hague)の海岸には、第2次世界大戦(World War II)中、ナチス・ドイツ(Nazi)の手によって造られたいくつもの掩蔽(えんぺい)壕がある。これらの壕が今、観光地として脚光を浴び、いまだ残る戦争の傷跡を癒やす助けとなっている。
砂とがれきに埋もれていたトンネルは、アドルフ・ヒトラー(Adolf Hitler)による「大西洋の壁(Atlantikwall)」計画の名残だ。この海岸防衛線は連合軍の進攻を水際で防ぐために5000キロにわたって、ノルウェー北部からフランス南部を結ぶ予定だった。
スヘベニンゲン(Scheveningen)郊外の海岸沿いに建てられた「大西洋の壁」博物館でボランティアをするジャック・ホーヘンドールン(Jacques Hogendoorn)氏によると、当時、形状や大きさはさまざまな鉄筋コンクリート製の壕が、870か所以上造られた。そのうち約470か所が、今でも首都アムステルダム(Amsterdam)郊外の砂丘や森などで見られる。
2008年、ホーヘンドールン氏と彼の設立した財団は地元当局の了承を得て、スヘベニンゲンの森の中にある全10室の入り組んだ壕を修復した。この地下の迷宮を訪れた観光客らは、湿った壕内部の肌寒く、狭苦しい雰囲気を体験できる。(c)AFP/Jan HENNOP